マクロ絡みの話です。
&とか%とか;とか、そういうSASにとって意味のある記号が、含まれる際に
そいつらをただの文字として扱いたい場合にマクロ引用符関数といったものを使います。
ほっとくと勝手に展開しようとしたり、変なとこで区切って解釈されてエラーになりますからね。
いわゆるクォート処理です。
(SASmemo - マクロ関数、自動マクロ変数一覧)
http://www50.atwiki.jp/sasmemox/pages/56.html
(Welcome to データ分析・マイニングの世界 by SAS)
http://wikiwiki.jp/cattail/?Base%20SAS%A5%DE%A5%AF%A5%ED
ただ、マクロのクォート周りはあんまり得意じゃなくて
正直きっちりと理解できてません。
なので、あんまり僕の説明はあてにしないでください。
さて、以下のようなデータがあるとします。
どうでもいい話ですが、世の中には結構「&」の入った会社名って多いんですよね
SASプログラマーにはつらい話です。
data Q1;
X='A&A';Y=1;Z=3;output;
X='B&B';Y=2;Z=2;output;
X='C&C';Y=3;Z=1;output;
run;
そこで、マクロ変数に値を入れて、それによって抽出を行うコードを考えてみましょう
%let MA = B&B ;
data E1;
set Q1;
where X = "&MA" ;
run;
まあ、できたデータセットE1の中をみると一応「B&B」で抽出できてるんですが
ログに
「WARNING: 記号参照 B を展開していません。」というメッセージがでています。
これは%let MA = B&B ;の時点で「&B」の部分を「B」というマクロ変数と解釈して
それを展開しようとしたけどBというマクロ変数がなかったので展開できずに、B&Bという文字列のまま
マクロ変数MAに入れましたという意味です。
今回はBというマクロ変数がなかったので、WARNINGがうざいなってだけで済みますが、もし
あった場合は展開されて、本来予期しない結果になってしまいます。
それを防ぐにはまず。
%let MA = %nrstr(B&B);
data A1;
set Q1;
where X = "&MA" ;
run;
こういうアプローチがとれます。%nrstrで「&」をただの文字扱いにしています。
では、マクロ変数の生成が%letではなく、call symput(x)の場合はどうでしょうか?
例えば
data _null_;
call symputx('MA','B&B');
run;
data E2;
set Q1;
where X = "&MA" ;
run;
とすると先程と同じようにWARNINGがでます。
これもまあ、
data _null_;
call symputx('MA','%nrstr(B&B)');
run;
とすれば一応解決です。
ただ、これまで見てきたのはマクロ変数に値を格納する際にクォート関数で
包んで一緒に入れてやることで、展開時に文字とみなしてやろうぜという発想です。
次は、そうではなくて、マクロ変数定義は以下のようにクォート関数なしで
そのまま格納し
data _null_;
call symputx('MA','B&B');
run;
展開時になんとかして、文字として解釈させようぜという発想のコードです。
その場合、以下のように書けます。
data A2;
set Q1;
where X = "%superq(MA)" ;
run;
superq関数はとても説明しにくいので、人の言葉を借ります
「引数に指定されたマクロ変数の値に対してマクロプロセッサが展開を行わないようにした上で、その値に含まれる特殊文字をクォート」(SASmemo)
「引数に与える文字列をマクロ変数名とみなし、1回だけ展開した値を返す」(Welcome to データ分析・マイニングの世界 by SAS)
「The %SUPERQ function locates the macro variable named in its argument and quotes the value of that macro variable without permitting any resolution to occur.」(SAS(R) 9.2 Macro Language: Reference)
或いは以前、紹介したsymget関数も、この場合は使えます。こいつはマクロ変数を展開した文字値を返すSAS関数です。
SYMGET関数でマクロ変数の値を取得する
http://sas-tumesas.blogspot.jp/2013/12/symget.html
data A3;
set Q1;
where X = symget('MA') ;
run;
でOKです。
ただし、symget関数はあくまでただのSAS関数として値を返すものですので
例えば以下のようにマクロ変数に抽出式を入れて
data _null_;
call symputx('wh','Y=1&Z=3');
run;
展開する場合
data A4;
set Q1;
where %superq(wh);
run;
だと正しい結果になりますが
data E3;
set Q1;
where symget('wh') ;
run;
だと、3レコードとも抽出されます。
これは結構不思議かもしれませんが
symget('wh')の結果返される値がnullかどうかという真偽値によって
whereが働いてしまうからです。
つまりsymget('wh')が返すのはこの場合「Y=1&Z=3」という文字列なのですが
この文字列はnullじゃないですよね? よって全て真となって
意図した抽出にはならないわけです。
マクロのクォート周りは、ドツボにハマりやすいので、周りにマクロ組むのが上手い人が
いたら直ぐに聞いた方がいいですね!
ハッシュオブジェクトで、definedataメソッドの対象となるのがデータセット内の全変数である場合、全部列挙しなくても、all:'Y'が効くという話と、メソッドのkey指定の変数名とdefinekeyで定義している名前が違ってもいけるよという細かい話
名人戦に電王戦の最終局と目が離せませんね!SASしてる場合じゃないですね!
久しぶりの更新です。
さて、実は最近、ハッシュオブジェクトに関する質問が結構きます。
(コメントや掲示板も使っていただけると嬉しいですが)
日本でも遅ればせながら少しずつ普及してきているんでしょうか?
誰にも頼まれてないのにハッシュオブジェクトを日本に普及させようと目論む狂信者の僕としては結構嬉しいです。(海外のSASプログラマーの興味は既にDS2にいってるのかもしれませんが、、)
今までは割とざっくりと、こんなメソッドがあって、こんなことができますみたいな話が多かったのですが、少しずつ細かい部分についても書いていきたいと思います。
同じ結果を導くのに、結構書き方が何通りもあって、よく言えば柔軟性があり、悪く言えば紛らわしいんですね。
例えば
data Q1;
ID=1;A=1;B=2;C=3;D=4;E=5;F='A';output;
ID=2;A=2;B=3;C=4;D=4;E=5;F='B';output;
ID=4;A=3;B=4;C=5;D=4;E=5;F='C';output;
run;
というデータがあって、
data A1;
if 0 then set Q1;
declare hash h1(dataset:'Q1');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata('ID','A','B','C','D','E','F');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
ID= i;
rc = h1.find();
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID--F);
end;
output;
end;
drop rc i;
run;
という処理を書くとします。
今回は文法のお話で
データにも、処理の内容にも特に意味はないのでデータセット内のキャプチャは省略です。
ハッシュ学習中の方は結果を予想してから実際に動かしてみてください。
上記のコードを書いていて、まず鬱陶しいのが、
h1.definedata('ID','A','B','C','D','E','F'); の部分ですね。
データステップと違って、クォートしてカンマでつないで指定なのがとても面倒です。
続いて
ID= i;
rc = h1.find();
のようにデータステップ中の変数とハッシュオブジェクトのkeyの変数名を合わせてから
空括弧でメソッドを指定するという書き方ももちろんOKなのですが、無駄に割り当てをしなくても
実は書くことができます。
その2点について改善したのが下のコードになります。
data A2;
if 0 then set Q1;
declare hash h1(dataset:'Q1');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata(all:'Y');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
rc = h1.find(key : i);
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID--F);
end;
output;
end;
drop rc i;
run;
まず
h1.definedata(all:'Y'); の部分ですね。これによってIDからFまで全ての変数を指定したのと同じことになります。
ただし、注意なのはこの方法は
declare hash h1(dataset:'Q1'); のように、ハッシュオブジェクト定義時にdataset:で定義と同時にデータセットを取り込む書き方の場合しか使えません。
ハッシュオブジェクトはdeclare hash h1()のように空で作ってから、そのあとaddメソッドなどで中身をいれることもできますが、その場合definedataで全変数と言われても何の全変数やねん!となるので無理なわけです。
また、ついでにちょっと関係ない話ですが、上記の2つのコードとも if _N_ = 1 then がないのはなんで?と思われた方いらっしゃいますか?もしそう思われたら、結構ハッシュに慣れてますね。
ハッシュオブジェクトの定義は1ステップ内で1度行えばよく、1obs読み込むごとにやると効率が悪いのでif _N_ = 1 then do; end;の間にdeclareステートメント以下定義部分を入れることが多いのですが、今回はそもそもsetでデータセット読み込んでないので_N_=1しかないから、省略してるんですね。以上。
さて続いて
rc = h1.find(key : i); の部分に注目してみます。これは変数 i の値が動的に与えられ、それによってハッシュオブジェクト内のID変数が検索されるのですね。
ここでやりがちなのが
rc = h1.find(key : 'i'); とコーテーションで包んでしまうことです。ハッシュ定義時の指定がクォート方式なので大変ややこしいのですが、それをすると全く違う意味になってしまいます。
それは "i"という文字列で検索しろという命令になってしまいます。今回IDにiなんて文字は入ってませんし、そもそも数値型なので、エラーになってしまいます。
ハッシュオブジェクトのkeyが文字値の場合はエラーにならない分、余計にタチが悪く、こっちは動的に検索してるつもりが、実は全て固定値で検索してたっていうことになってしまいます。
さて、こう説明すると、だいたい次に聞かれるのが、じゃあ ID A C F とかって全部じゃなくて指定したい時はやっぱり一個一個、クォートしてコロンなの?という質問です。
基本的には、そうなんです!ということなんですが、一応以下のように書いて、all:'Y'に持ってくこともできます。データセットの指定にデータセットオプションが聞くので、オプションで絞ったうえで全部指定にすれば結果的に部分指定していることになるってことですね。
data A3;
if 0 then set Q1(keep=ID A C F);
declare hash h1(dataset:'Q1(keep=ID A C F)');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata(all:'Y');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
rc = h1.find(key : i);
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID A C F);
end;
output;
end;
drop rc i ;
run;
おわりです!
久しぶりの更新です。
さて、実は最近、ハッシュオブジェクトに関する質問が結構きます。
(コメントや掲示板も使っていただけると嬉しいですが)
日本でも遅ればせながら少しずつ普及してきているんでしょうか?
誰にも頼まれてないのにハッシュオブジェクトを日本に普及させようと目論む狂信者の僕としては結構嬉しいです。(海外のSASプログラマーの興味は既にDS2にいってるのかもしれませんが、、)
今までは割とざっくりと、こんなメソッドがあって、こんなことができますみたいな話が多かったのですが、少しずつ細かい部分についても書いていきたいと思います。
同じ結果を導くのに、結構書き方が何通りもあって、よく言えば柔軟性があり、悪く言えば紛らわしいんですね。
例えば
data Q1;
ID=1;A=1;B=2;C=3;D=4;E=5;F='A';output;
ID=2;A=2;B=3;C=4;D=4;E=5;F='B';output;
ID=4;A=3;B=4;C=5;D=4;E=5;F='C';output;
run;
というデータがあって、
data A1;
if 0 then set Q1;
declare hash h1(dataset:'Q1');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata('ID','A','B','C','D','E','F');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
ID= i;
rc = h1.find();
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID--F);
end;
output;
end;
drop rc i;
run;
という処理を書くとします。
今回は文法のお話で
データにも、処理の内容にも特に意味はないのでデータセット内のキャプチャは省略です。
ハッシュ学習中の方は結果を予想してから実際に動かしてみてください。
上記のコードを書いていて、まず鬱陶しいのが、
h1.definedata('ID','A','B','C','D','E','F'); の部分ですね。
データステップと違って、クォートしてカンマでつないで指定なのがとても面倒です。
続いて
ID= i;
rc = h1.find();
のようにデータステップ中の変数とハッシュオブジェクトのkeyの変数名を合わせてから
空括弧でメソッドを指定するという書き方ももちろんOKなのですが、無駄に割り当てをしなくても
実は書くことができます。
その2点について改善したのが下のコードになります。
data A2;
if 0 then set Q1;
declare hash h1(dataset:'Q1');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata(all:'Y');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
rc = h1.find(key : i);
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID--F);
end;
output;
end;
drop rc i;
run;
まず
h1.definedata(all:'Y'); の部分ですね。これによってIDからFまで全ての変数を指定したのと同じことになります。
ただし、注意なのはこの方法は
declare hash h1(dataset:'Q1'); のように、ハッシュオブジェクト定義時にdataset:で定義と同時にデータセットを取り込む書き方の場合しか使えません。
ハッシュオブジェクトはdeclare hash h1()のように空で作ってから、そのあとaddメソッドなどで中身をいれることもできますが、その場合definedataで全変数と言われても何の全変数やねん!となるので無理なわけです。
また、ついでにちょっと関係ない話ですが、上記の2つのコードとも if _N_ = 1 then がないのはなんで?と思われた方いらっしゃいますか?もしそう思われたら、結構ハッシュに慣れてますね。
ハッシュオブジェクトの定義は1ステップ内で1度行えばよく、1obs読み込むごとにやると効率が悪いのでif _N_ = 1 then do; end;の間にdeclareステートメント以下定義部分を入れることが多いのですが、今回はそもそもsetでデータセット読み込んでないので_N_=1しかないから、省略してるんですね。以上。
さて続いて
rc = h1.find(key : i); の部分に注目してみます。これは変数 i の値が動的に与えられ、それによってハッシュオブジェクト内のID変数が検索されるのですね。
ここでやりがちなのが
rc = h1.find(key : 'i'); とコーテーションで包んでしまうことです。ハッシュ定義時の指定がクォート方式なので大変ややこしいのですが、それをすると全く違う意味になってしまいます。
それは "i"という文字列で検索しろという命令になってしまいます。今回IDにiなんて文字は入ってませんし、そもそも数値型なので、エラーになってしまいます。
ハッシュオブジェクトのkeyが文字値の場合はエラーにならない分、余計にタチが悪く、こっちは動的に検索してるつもりが、実は全て固定値で検索してたっていうことになってしまいます。
さて、こう説明すると、だいたい次に聞かれるのが、じゃあ ID A C F とかって全部じゃなくて指定したい時はやっぱり一個一個、クォートしてコロンなの?という質問です。
基本的には、そうなんです!ということなんですが、一応以下のように書いて、all:'Y'に持ってくこともできます。データセットの指定にデータセットオプションが聞くので、オプションで絞ったうえで全部指定にすれば結果的に部分指定していることになるってことですね。
data A3;
if 0 then set Q1(keep=ID A C F);
declare hash h1(dataset:'Q1(keep=ID A C F)');
h1.definekey('ID') ;
h1.definedata(all:'Y');
h1.definedone();
do i = 1 to 5;
rc = h1.find(key : i);
if rc ^= 0 then do;
call missing(of ID A C F);
end;
output;
end;
drop rc i ;
run;
おわりです!
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